◆味噌（みそ）※右の画像・サイトは「地営業日記」による。 ◆昔の豆味噌の造り方（記憶による） 1 春先、普通の大豆を一昼夜「うるがす（水に浸す）」。 2 大鍋で軟らかくなるまで煮る。食べると、とても軟らかく、甘くて美味しい。 3 笊（ざる。柄のついた洋皿程の大きさで、楕円形）ですくって、臼に入れる。臼は稲部屋（板庭の奥の一室）の隅に置いてあり、正月用の餅を搗く大臼である。臼をゴロゴロ転がして、土間に据える。土間には、稲ワラを敷くが、これは、臼を汚さないためかもしれない。 4 煮た大豆の原型が識別出来るか出来ないか程度に、杵（きね）で搗いたり、捏ねったりする。 5 伸し板（100×150�冂�度の板）に取り込み、味噌玉を作る。味噌玉の大きさは、底辺の直径12�冂�度、高さも12�冂�度の円錐形。 6 味噌玉を稲ワラで結わえて、軒先に吊るす。空中には味噌酵母が浮遊しているので、自然に味噌玉に付着する。必要により、縁側にも吊るすことがある。 7 やがて味噌玉はひび割れし、味噌酵母の黴（かび）が生えてくる。 8 やや硬くなったところで、キッチ（大きな盥）に取り込んで、水を入れて軟らかくする。 9 軟らかくなった味噌玉を臼に入れ、適宜に食塩を混ぜ、杵で捏ねる。 このとき、糀（こうじ）を混ぜたかどうかは、はっきり覚えていない。谷内の天王堂さんや花輪の関善さんへは、ときどき糀を買いに行かされたことがあったが……。 10 混ぜ合わせた「味噌」をコガ（大きな樽）に取り込み、蓋をして仕込む。コガは、稲部屋や蔵（土蔵）などの冷暗所に置く。 味噌は空気に触れると好気性菌である枯草菌（こそうきん）が繁殖し、風味や香りが損なわれる（枯草菌そのものは、有害ではない）。好気性菌とは、空気がないと生育できない菌のこと。また枯草菌は、空気中や枯れ草・土壌中など自然界に広く分布している細菌のこと。納豆菌もこの一種。 空気から味噌を遮断し、麹菌と乳酸菌との働きを活発化させることで、有用な微生物を生育させ、枯草菌などの微生物の生育を抑えることが、よい味噌造りのポイントとされている。 11 数ヶ月から数年間熟成させる。 12 味噌は、空気に触れると変色し、品質が低下するので、必要分を取り出したら、忘れずに蓋で覆う。［守］ ◇fb H250224 手前味噌の歌 ◇fb H250126 手前味噌の歌 ◇原風景 |