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◆74 アンズ巻 杏梅の梅干。熟んだ杏梅の種を取り、紫蘇の葉とともに一旦塩蔵する。取り出して天日に干す。一個一個を紫蘇の葉で包み、また塩蔵する。 ◇梅干 私の家には、大きな梅の木が一本生えていた。豊後梅系と思われる。熟むと種が離れるが、アンズウメのように甘くなく、やや酸っぱい梅であった。 祖母（明治10年頃の生まれ）が、黄色く熟んで、地面に落ちた梅の実を拾って、シソ（紫葉）の葉付きの茎と一緒に塩蔵した。 数週間後、取り出して、種を取り去り、実だけを折板などに並べて、天日に干す。しなしなになった頃、一個ずつ生のシソ葉で包んで、塩蔵する。数ヶ月経つと特製梅干の出来上がり。 当時（終戦前後）、故郷から東京などへ行って生活していた人たちが、伝（つて）を頼って買い求めに来ていた。（法印様（ほんにさま）の梅干なので）それなりの値段であった。売り上げは、祖母の収入であった。 その後、土曜日の午後は学校から帰ると、未だ熟んでいない梅をもぎ取った。翌朝3時に起され、4�匐瓩�ある花輪駅まで母と一緒に梅を背負って、5時発の汽車で大館へ行った。大館駅前には市場があり、梅は高値でアッと云う間に売れた。売り上げは、母の収入であった。［守］ |