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◆P.239 不偏不党に歴史を見つめ直す ‐ 「日韓併合の真実」 寺内総督と幹部たちは、李朝史について無知だった。土地調査事業は目賀田種太郎の労苦によって、法的には成功した画期的な事業であったものの、李朝下の農工民の常民の呻吟（しんぎん）を顧みなかったために、多くの災いをもたらした。 四番目は、資源である。この非難も、まったく当たっていない。高宗と閔妃が、ロシア、フランス、アメリカヘ鉱山や、森林の利権を売って、賄賂をふんだんに掠め盗った。これを妨げようとしたのが、李完用であったが、今日、韓国のナショナリストたちが誇りにしている、『独立新聞』の社説によっても、称えられている。 それに日韓併合は、日本による壮大な持ち出しであった。日本は朝鮮半島に、日本本土にないような発電所や、重工業を建設した。目を見張るようなインフラ・ストラクチュアを整備して、韓民族の福祉の向上に大きく貢献した。 ヨーロッパや、アメリカの植民地統治国が、植民地で徹底した愚民政策を行い、工業をまったく興さなかったことと、天地の違いがある。この事実は、今日、欧米の多くの植民地比較研究の学者が認めている。日本は「一視同仁」による、皇民化をはかったのだった。李完用が稀代の愛国者であったのに対して、高宗と閔妃こそ、呪うべき売国奴だった。 「七奪」の五、六番目に、国語と人名があげられている。 国語については、韓国語と日本語はその源が同じである。両語を地方方言としてみれば、両語の標準化という視点に立てる。朴炳植（パクビョンシク）の『ヤマト言葉語源辞典』、また明治二十六年に吉田東伍が著した『日韓古史断』も、日本語が韓国語の方言であると断じている。日韓併合時代は当然のことに日本がリーダーシップをとっていたから、日本語教育に力が注がれた。といって、総督府はハングルを教える教科書も、大量につくった。 分断されてから五十余年がたった南北朝鮮間では、すでに通訳が必要になっている。日本でも、マスメディアが発達していなかった時代には、東北弁と江戸弁、九州弁のあいだに大きな差異があった。日本において標準語が広く用いられるようになったのは、明治に入ってからのことである。私は将来、同じように韓日両国間で、言語を統一することが可能であると確信する。 人名を奪ったという説も、同意できない。 韓国では三国時代まで二字姓であったが、その後、自主独立を捨てて、唐の属国になることを志願して、唐制の一字姓に創氏改名された。日韓併合時代の創氏改名は、二字姓に戻ることであった。そして当時、創氏改名は各人の自由に委ねられたが、人口の八〇％以上が同意した事実がある。 日本軍の高級将校であった、多くの韓国人が創氏改名を行わなかった。もし創氏改名が強制されたものであったとしたら、朝鮮半島出身の高級将校こそ、手本を示すためにまず名を改めさせられたはずである。 「七奪」の第七番目は、生命を奪ったということだが、これも大きな歪曲である。 李朝五百十八年と、朝鮮総督府時代と、一九四五年以後の南北分断時代の三つの時代を比較すれば、このうち、もっとも人命が尊重されて人口が増えたのは、朝鮮総督府時代であった。この事実は、人口統計が証明している。北朝鮮はいうまでもないが、韓国においても李承晩時代に、韓国動乱による戦火がもたらした死者を除いても、韓国政府は何十万人にものぼる多くの自国民を殺害した。事実は、統計数字に委ねるべきである。 「七奪」のそしりは三番目の「土地」さえ除けば、歪曲されたものにすぎない。 それでも「七奪」を主張するのは、韓国・朝鮮病がもたらす激情が、不治の病いなのだろうか、と案じさせられる。激情に駆られる者は身勝手に早合点し、反省することを知らない。 初代統監だった伊藤博文が、安重根義士によって暗殺された。安義士は伊藤の暗殺が愛国的な義挙だと考えたが、錯覚していた。安義士は李氏朝鮮のおぞましさについて、よく知らなかった。 伊藤は民間人であり、第二代目の統監となった曾禰荒助もフランス留学を経た民間人で、ともに朝鮮を近代化して、開明的な資本主義体制に導こうと切実に望んでいた。 伊藤博文は、長州であった山口県の出身だった。長州は歴史的に百済の第二十六代の、聖明王の第三王子である琳聖太子が開国し、代々周防を守護し、統治した百済系の子孫たちが住む土地であった。 私は山口県の萩市を散策したことがあるが、韓国では見られない古代三国時代からの遺物や、骨董品が多くあった。韓国出身の私はそれに驚き、恥じた。 伊藤は西洋留学と視察によって見識を鍛え、祖先が百済から来たことを自覚して、朝鮮の光栄を取り戻そうと考えて、三度にわたって総理大臣をつとめながら、韓国統監に降等して、就任した。 安義士がその伊藤を暗殺したことが、愛国的行為だったと称えられているが、その結果、日本側がやむをえず現役軍人を統監、総督として、軍政を敷く結果を招いたことについては、何らの反省も見られない。岸信介首相も、山口県出身で、祖先が韓国からきたにちがいないと語った。山口県出身の首相は、多い。山口県は、近代日本の原動力となってきた。 日韓併合時代が終わってから、五十八年が経過した。私の希望は南北朝鮮の統一もさることながら、韓日統一が両国にとってもっと重要であると信じている。もちろん、かつての日韓併合のような統一は、不可能であろう。ヨーロッパ共同体（ＥＵ）のような方式で、緊密な関係を構築することによって、両国の国威を宣揚しうると、確信している。 一千年前の三国時代の韓国と日本とは、同一民族、同一原語族であった。統一の優先的対象は、南北朝鮮よりも、韓日であるべきである。 日韓併合に対する歴史的評価が、植民地的統治による一部の弊害を論じることだけに偏向し、日韓併合が韓国の近代化の原動力となった史実に対して目をつむって、国定歴史教科書によって、日本がなくても李朝は近代化されただろうという虚偽の事実を教育している。純真な児童たちに誤った反日、嫌日感情を植えつけている現実を、私は強く憂いている。 他方、北半部の北朝鮮は、旅行、移住、教育、思想、信仰の自由がまったくない。虚政を半世紀以上も、続けている。国民の二〇％を餓死させ、無頼漢にすぎない為政者を神のように崇めさせている。地上の地獄だ。朝鮮戦争、ラングーン事件、ＫＡＬ機爆破をはじめとする大量殺戮を、繰り返してきた。私たちは李氏朝鮮をそのようにみねばならない。今日の北朝鮮は、李朝の完全なクローンである。 金大中政権では、北朝鮮に対して好意を示した。そのかたわらで、あいかわらず反日・嫌日教育が行われている。これは常軌を逸している、といわねばならない。 李朝五百十八年は、腐りきった中国の属国を志したものだった。李朝は自主独立を捨てて、中国に精神を預けて、儒教朱子学の原理主義に立脚して、「小中華」を自称して、自国民を奴隷化した。良民たちは、私利私欲だけに駆られた両班の食い物にすぎなかった。百姓は虐政に呻吟し、脱出するか、死ぬ自由しかなかった。改革を試みた王世子や、愛国者は抹殺された。 李朝のもとでは、民族の自主的な解放は、絶対にできなかった。 日韓併合の収支決算は、韓民族にとって大いなる善であったことを、知らねばならない。他力本願ながら、日韓併合が韓民族を救済し、南の韓国に今日の繁栄をもたらした。このことを、率直に認めるべきである。 韓日両国が密接に協力することこそ、両国民にとって望ましい。 日本民族は百済の末裔であり、本性は善である。兄弟国によった日韓併合は、李朝五世紀にわたって不当に抑えつけられてきた韓民族の善なる本性を蘇生させた。いまこそ歴史を再検討するように、提案したい。 |