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◆P.170 中国の軍事パレードを見て笑えた二つの事象 やっと自虐の史観のアホらしさに気づいた日本人（PHP研究所） 二〇一五年九月三日、中華人民共和国（PRC）の習近平国家主席は、「抗日戦争と世界反ファシズム勝利七十周年記念」と銘打った式典を開催し、大規模な軍事パレードを行いました。 以前、PRCの王毅外相は、完全に日本を標的としたこの軍事パレードに海外首脳を招待すると発表した際、安倍首相を「日本の政権を握る者」と呼んだうえで、「まずは胸に手を当てて自問せよ」「自分の良心に尋ねてみよ」などと偉そうなことを言いました。 神戸大学の梶谷懐先生によると、PRCはヨーロッパでも反日工作をかなり強めているようです。 たとえば欧州主要都市の公園などに、「南京大虐殺」の解説パネルを設置するような、プロパガンダ戦略を行っているのです。欧米諸国はPRCについて「なぜ、そこまで日本に絡みつづけるのか？」という疑問しか持っていませんが、日本の信用を毀損し、国際社会から孤立させることがPRCの狙いであることは、疑う余地がありません。 そもそも、史実を少しでも知っていれば、中国共産党が「抗日戦争勝利」を主張する姿は、滑稽としか言えないはずです。日本が戦争をしていたのは、蒋介石率いる国民党の軍隊であって、しかも国民党軍は日本軍に連戦連敗でした。アメリカがペリリユー島や硫黄島、沖縄などで、強すぎる日本軍と死闘を繰り広げ、無差別空襲や原爆投下といった戦時国際法違反まで犯しながら、死に物狂いで日本に勝ったおかげで、中国（国民党政府）は棚ボタ式に「戦勝国」の地位を手に入れたのです。 現在のPRCに至っては、終戦後の一九四九年に建国された国です。戦時中は、毛沢東を指導者とする八路軍が日本軍にゲリラ戦を仕掛けたことはあっても、まともに戦闘を行ったことすらありません。彼らは単なる「やじ馬」だったのです。それが「戦勝国」を名乗るとは何様のつもりでしょうか。 建国以来、共産党一党独裁の全体主義を続けるPRCが、日本に向かって「反ファシズム」と叫ぶのは、悪い冗談として無視すればいいのですが、今回の軍事パレードへの参加は、諸外国に対して、「お前たちはわれわれとアメリカのどちら側につくのだ」と迫る、「踏み絵」の意味があったと私は考えています。 このパレードの映像を見ていて、思わず笑ってしまった場面が二つありました。 一つ日は、式典冒頭で人民解放軍が「抗日の狼煙をあげろ」とか、「日本を東方に駆逐せよ」などと歌っていたことです。おそらく、戦時中は日本軍にまったく歯が立たなかったことが、よほど中国人のトラウマになっているのでしょう。 そしてもう一つは、この軍の合唱を報じた中央電視台（CCTV）の映像です。この映像には、大東亜戦争中に撮影された、プラカードを持ってデモ行進する古い映像が挿入されたのですが、その途中で「服従 領軸訓示（指導者の訓示に従おう）」と書かれたプラカードが見られました。ところがその目の前には、中国共産党の仇敵であるはずの国民党のリーダー、蒋介石の顔を描いた別のプラカードが映っていたのです（四十六分五十一秒あたり。https://www.youtube.com/watch?v=rvs_6MpEytc）。まさか！ 目の錯覚だろうと思って何度も見直したのですが、間違いありませんでした。 つまりこれは、「蒋介石の訓示に従おう」という映像だったのです。相当ムチャな設定ですが、七十年後の日本で、日本共産党が政権を取っていたと仮定しましょう。その軍事パレードのときに流された映像の中に、「安倍晋三首相の訓示に従おう！」というシーンがあったようなものです。中国共産党や人民解放軍の人々が、歴史をまったく知らないのか、あるいはかなり深刻な健忘症を患っているのかはわかりません。とにかく、よくこれで日本に対して「正しい歴史認識」を迫れるものです。 王毅外相からいただいた「胸に手を当てて自問せよ」というありがたいお言葉は、慰斗を付けてそのまま、いや、倍返しでさっさと返却したほうが良さそうですよ。 |